中国RoHS
中国RoHS
中国における電器電子製品についての化学物質管理規則である「中国RoHS」について、以下にまとめる。
(2023年7月時点の情報)
- 中国RoHSの目的:電器電子製品廃棄後の環境汚染を抑制・削減するため、クリーンな生産および資源総合利用を促進し、グリーン消費を奨励すること。
- 中国RoHSの概要:中国における電器電子機器(AC1000V、DC1500V以下)における有害物質の使用を規制する法律。
- 中国RoHSの経緯:2016年7月1日に改正版RoHS(令32号)が施行となり、それまでの中国RoHS管理規則(2007年3月1日に施行、中国RoHS1と呼ばれる)は廃止となった。
-
要求される責務:2段階で規制される。
<第1ステップ>
製品に含有される有害物質及び環境保全使用期限の表示を行う。
⇒ この段階では特定有害物質を非含有とする義務はなく、表示義務のみ。
<第2ステップ>
「有害物質使用制限目録」に掲載された電器電子製品における、特定有害物質を非含有とする。 -
対象製品:
中国国内で生産、販売、輸入された電器電子製品(定格電圧がAC1000V、DC1500V以下)
具体的な製品について、10製品群としてリストが載っている。
<参考情報>
-
電器電子製品有害物質使用制限管理弁法
(中国工業情報化部HP)
-
電器電子製品有害物質使用制限管理弁法
(中国電子技術標準化研究所HP)
中国RoHSのこれまでの経緯
電子情報製品汚染制御管理弁法(通称 中国RoHS1)
- 適用開始日:2007年3月1日
- 対象製品:中国国内で生産、販売、輸入された電子情報製品 (部品、材料、生産設備等を含む)
- 規制物質:6物質
電器電子製品有害物質使用制限管理弁法(通称 中国RoHS2/改正中国RoHS)
- 適用開始日:2016年7月1日
- 対象製品の拡大:中国国内で生産、販売、輸入された電器電子製品 (定格電圧がAC1000V、DC1500V以下)が対象となり、基本的には全ての電器電子機器が規制の対象となった (一部対象外を除く)。
【備考】
EU RoHSでは、適用開始日=上市日(輸入品であれば通関日)であるが、中国RoHSの適用開始日=生産日となる。
電器電子製品有害物質使用制限管理弁法の実施に関するFAQ
Q5、6より(中国工業情報化部HP)
合格評定制度の開始 2019年11月1日運用開始
要求される責務
第1ステップ ⇒ 製品に含有される特定有害物質と、環境保全使用期限の表示を行う
-
有害物質の扱いとなる6物質は右表のとおり(2023年7月時点)。
欧州RoHSに準拠しているが、フタル酸エステル4物質はまだ対象となっていない。
-
製品に含有される有害物質及び環境保全使用期限の表示
電子電気製品有害物質制限使用標識要求(SJ/T 11364-2024)に従って、電器電子製品にラベル表示を行う。
第1ステップでは、有害物質を非含有とする義務は無く、表示義務だけとなっている。
-
※1環境保護使用期限の定め方:「電子情報製品環境保護使用期限通則」(SJ/Z11388-2009)に記載。
電器電子製品有害物質使用制限管理弁法の実施に関するFAQQ9も参照(中国工業情報化部HP)
<参考情報>
- 関連標準類:中国電子技術標準化研究所HP
- 電子電気製品有害物質制限使用標識要求(SJ/T 11364-2024)
-
電子電気製品6種制限物質(鉛、水銀、カドミウム、六価クロム、PBBs、PBDEs)の測定方法 (GB/T39560)
- 電子電気製品制限物質の制限量要求(GB/T 26572-2011)
- 電子電気製品の六価クロムの測定原子蛍光分光法(GB/T 29783-2013)
第2ステップ ⇒ 「合格評定制度」により、「有害物質使用制限目録」に掲載された電器電子製品における、特定有害物質を非含有とする。
「有害物質使用制限目録」(中国工業情報化部HP)に掲載された対象品目
規格名称 |
|
---|---|
1 |
冷蔵庫 (ボックス型 800L以下) |
2 |
エアコン (定格冷却能力≦14,000W) |
3 |
洗濯機 (洗濯量10kg以下、乾燥機能含む) |
4 |
電気温水器 (容量500L以下) |
5 |
プリンター (印刷領域≦A3、印刷速度≦60枚/分) |
6 |
複写機 (印刷領域≦A3、印刷速度≦60枚/分) |
7 |
ファックス(スキャン機能を含む) |
8 |
テレビ |
9 |
モニター |
10 |
マイクロコンピューター (デスクトップ、ポータブル、タブレット等) |
11 |
モバイル通信端末・携帯電話 |
12 |
固定電話 |
- 合格評定制度:「有害物質使用制限目録」対象の12品目に該当する製品は、非含有証明のための適合性評価を行い、CGPマーク(China Green Product Mark)の貼付が要求される。適合性評価方法によってマークが異なる。
-
合格評定制度の流れ:
- 製品が「有害物質制限目録」対象の12品目に該当するか確認。
- 該当する場合、「供給者適合声明」・「自己適合声明」のいずれかを選択し、評価する。
- 合格した製品にはCGPマークを貼付。
- 公共サービスプラットフォームに登録する。
<参考情報>
- 合格評定制度 (中国工業情報化部HP)
- マーキング要求 ⇒グリーン商品識別管理規則(国家市場監督管理総局HP)
- 合格評定制度(中国電子技術標準化研究所HP)
- 自己適合宣言情報提出システム
- 認証機関リスト(国家市場監督管理総局HP「全国認証認可情報公共サービスプラットフォーム」内)
電器電子製品有害物質使用制限管理弁法 FAQについて
- 電器電子製品有害物質使用制限管理弁法(以下 改正中国RoHSと略す)では、法律の本文に書ききれないことをFAQとしてまとめている。
- 「電器電子製品有害物質使用制限管理便法」の実施に関するFAQ(中国工業情報化部HP)
<参考情報>
代表的なFAQについて、以下に主な内容を抜粋する。
注意:2023年7月現在の情報です。法対応等の最終的な判断に際しては、必ずFAQの原文をご確認下さい。
Q1.5. 改正中国RoHSの対象製品について、2016年7月1日以降、市場投入日に準ずるのでしょうか?
市場投入日ではなく、2016年7月1日以降に生産(日)された製品が対象となります。生産日とは、製品が生産現場上で全ての工程を終え、検査を経て、市場で販売可能な製品として包装された日をいいます。
Q2.12. 改正中国RoHSにおける、対象製品は何でしょうか?
改正中国RoHSの適用対象範囲には、電器電子製品および付属製品が含まれます。その定格動作電圧は直流の場合は 1,500V以下、交流の場合は 1,000V以下です。以下、対象製品の例となります。
<改正中国RoHS 対象製品の例>
- 通信機器
- テレビ・ラジオ機器
- コンピューター及びその他の事務機器
- 家庭用電器電子機器
- 電子測定機器
- 工業用電子機器 工業用加工、生産、検査機器、工業用制御用監視装置・機器等
- 電動工具
- 医療用電子機器及び器具
- 照明製品
- 電子文具、工具、娯楽・スポーツ用品
Q3.11. 改正中国RoHSにおける、対象外製品はありますか?
以下の電器電子機器及びその専用の、またはカスタマイズされた附属品は、改正中国RoHSの管轄範囲に属しません。
- 発電所、送配電施設、建築物給拝殿施設用のシステム及び設備等、電気エネルギーの発生、輸送、配分に係る設備
- 軍事用の電器電子機器
- 特殊な環境または極端な環境に用いる電器電子機器
-
輸出用の電器電子機器
-
※輸出用の電器電子設備は、有害物質使用制限に関する輸出先国/地域の規定に適合しなければならない。
-
- 一時輸出品または国内で修理するが、販売しない電器電子機器
- 科学研究/研究開発、テスト用の試験機
- 展示会、見本市等に用いるが、販売しないサンプル、展示品等
Q4.31. 改正中国RoHSの標識について:標識は、最終製品に表示すれば良いのでしょうか?
標識は最終製品に表示します。
尚、標識する情報は、当該製品のすべての成分を網羅しなければなりません。川上サプライヤーは、標識に必要となるすべての情報を川下サプライヤーに提供する責任及び義務を有します。詳細は電子電気製品有害物質制限使用標識要求(SJ/T 11364-2014)に記載されています。