水力発電とは

水力発電とは

水力発電の概要

水力発電は河川などの水のエネルギーを水車により機械エネルギーに変換し、さらに発電機により電気エネルギーに変化する発電システムです。
水力発電には100年以上の歴史があります。1950~1960年代には、急速に増大する電力需要を賄うため、ダムや長大な導水路・水圧鉄管路などを有する大規模水力発電の開発が行われてきましたが、1990年代に入って以降、新設の大規模開発案件はほぼ終了し、設備容量は頭打ちになっています。開発地点の小規模化や奥地化も進んでいることから、開発期間の長期化や発電コストの上昇などの事業リスクが増しています。
一方、近年では、ダムの放流水および農業用水路や上下水道・工業用水などの未利用落差を利用した水力発電も増加しています。
また、2012年にスタートした再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT制度)においては、出力30,000kW未満の水力発電設備が対象となることから、中小水力発電所の新設や老朽化設備の更新が促進されています。

日本の水力発電設備容量及び発電電力量の推移 日本の水力発電設備容量及び発電電力量の推移
出典:資源エネルギー庁「エネルギー白書2024」 図第213-2-21

日本には、42箇所、27.5GWの揚水発電設備があります。従来は、需要の少ない夜間電力を蓄え、昼間に発電する機能を担ってきましたが、近年では、太陽光発電の導入拡大による昼間の余剰電力対策や、電力需給ひっ迫時の供給力として重要性が高まっています。一方で、揚水発電は古い設備が多く、今後、運転開始60年を超え、更新が必要な時期を迎えます。揚水発電設備は、電力貯蔵機能や慣性力を大規模に有する脱炭素の調整力であり、2050年カーボンニュートラルの実現に向けては、既存の揚水発電設備の維持・更新に加えて、新設を進め、機能強化を図ることが重要です。

水力発電のメリット

水力発電は、古くから利用されている再生可能エネルギーです。水力発電は、水資源に恵まれた我が国のエネルギー供給において重要な役割を果たしてきました。現在でも我が国の発電電力量の約8%弱を担う電源です。また、世界的にも脱炭素化が世界的な重要課題となる中で、持続可能な水力発電の価値が改めて注目され、積極的な推進が提唱されています。

水力発電の意義

  • 再生可能エネルギーのひとつで、安定して出力できる純国産エネルギー
  • 40~60年の長期に亘って稼働でき、設備利用率が高く、低廉な電力を供給可能
  • 他の電源と比較して、非常に短い時間で発電開始(3~5分)が可能でき、電力需要の変化に素早く対応して出力調整が可能(流れ込み式を除く)

ダムの全景(イメージ)

水力発電の分類

水力発電の種類

水力発電所の種類は、水を貯めて運用するかどうかの利用面の観点から、「流れ込み式(水路式)」「調整池式」「貯水池式」「揚水式」に分けられます。このうち揚水式を除くものを、「一般水力」と称しています。

流れ込み式

河川を流れる水を貯めることなく、そのまま発電に使用する方式です。豊水期と渇水期の水量変化によって発電量が変動します。

調整池式

水路の途中に水を貯める「調整池」を設け、流れる水量を調整しながら発電します。水量を調整しながら、1日あるいは数日間という短期間の電力需要の増減に合わせて発電します。

貯水池式

貯水池式は、調整池式と同様に水量を調整して電力需要の増減に合わせて発電量を調整できる方式です。貯水池式は調整池より大きな貯水能力をもち、雪どけ水や梅雨、台風の雨水を貯水池にためておきます。電力需要が増す夏や冬、渇水期に放水して発電します。

揚水式

発電所の上部と下部に調整池を設け、上部の貯水池(上池)から下部の貯水池(下池)に水を落として発電します。電気の使用量が少ない時間帯に下池に溜まった水を上池に汲み上げます。従来は、夜間に上池にくみ揚げ、昼間の発電に備える運用をしていましたが、近年の太陽光発電の導入拡大に伴い、昼間の余剰電力対策としても活躍しています。
揚水式には、河川からの水の流れ込みのない純揚水式と、河川の自然流入を利用する混合揚水式があります。

水力発電所の構成

水力発電は、流れ落ちる水の勢いにより水車を回して電気を起こします。発電に使われる水は、貯水池にある取水口から水路をとおって水車を回転させ、水車と直結した発電機が回転することで電気がつくられます。電気は、水の量が多いほど、また、落差が大きいほど大きな電気エネルギーを生み出します。また、この電気は発電所の変圧器で高い電圧に昇圧されて、電力ネットワークを介して消費地へ送られます。

水力発電所の構成(イメージ)

代表的な水車の形式

水力発電所の心臓部ともいえる水車には様々な形式があり、水量や落差などの条件の違いによって適した水車を採用します。水の落差エネルギーを圧力として利用する「フランシス水車」はわが国で最も多く使われている形式で、中・高落差向けです。フランシス水車と理論的には同じプロペラ水車のうち、羽根が稼働するものと「カプラン水車」と呼んでおり、低・中落差向けです。また、水の速度を利用する「ペルトン水車」は、水の勢いをおわん形の羽根で受けて回転させる方式で落差の大きな発電で用いられます。「クロスフロー水車」は、フランシス水車同様、水の圧力と速度を利用しますが、ランナー(羽根車)の回転軸方向と垂直方向に水が流れ、主に1,000kW以下の小水力発電所で採用される方式です。
また、1990年以降には、コンピュータによる流れ解析(CFD)の精度が飛躍的に向上しました。水力発電機器メーカーは、この技術を水車性能の開発に適用し、水力発電の出力を増加させ、発電電力量の大幅な改善を図っています。

代表的な水車の形式

出典:資源エネルギー庁「水力発電について」を加工して作成

フランシス水車 フランシス水車

フランシスポンプ水車 フランシスポンプ水車

ベルトン水車 ベルトン水車

カプラン水車 カプラン水車

水力発電の活用促進に向けた国の施策とJEMAの取組み

国の施策と導入状況

「第6次エネルギー基本計画」における2030年度のエネルギーミックスでは、電源構成比に占める再生可能エネルギーの割合を36~38%に引き上げています。このうち、水力発電は、11%程度の電源比率を担う目標が掲げられています。特に、中小水力発電(30,000kW未満)の設備容量では、2019年度末(第6次エネルギー基本計画策定時点)980万kWから、2030年度に1,040万kWに引き上げる目標です。この目標の達成に向けては、最新の気象予測技術によるダム運用の高度化や柔軟な運用を推進しつつ、未利用の水力エネルギーを積極的に活用していくことに加え、老朽化した既存設備のリプレースによる最適化・高効率化によって、発電電力量の最大化を図る取組みの強化が必要です。
政府においても、FIT制度やFIP制度による支援のほか、事業化初期段階の調査への支援、既存設備の増出力への支援など様々な取組を推進しています。また、2024年1月には、脱炭素電源の新規投資の促進を目的とした長期脱炭素電源オークションが導入され、一定規模以上の揚水発電所や一般水力発電所の新設・リプレースが対象となります。

中小水力発電のFIT・FIP導入量 出典:資源エネルギー庁 第90回調達価格等算定員会 資料2 をもとにJEMA加工

今後に向けて

2050年カーボンニュートラルの実現を見据え、自然変動再生可能エネルギーの大量導入とその最大限の活用が不可欠になります。貯水池式・調整池式、揚水式の水力発電を調整力として活用し、水力発電が、需給バランスの改善や系統設備の増強抑制に貢献する新たな役割を果たすことが期待されます。

JEMAの取組み

JEMAは、中長期的な水力発電の利活用促進や導入拡大に向けた提言活動を推進するため、2021年10月に「水力発電WG」を立ち上げました。機器メーカーの観点で水力発電および揚水発電の活用促進に関する活動に取り組んでいます。

水力発電WGの提言活動

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