POPs条約

残留性有機汚染物質に関する「ストックホルム条約(POPs条約)」について、以下にまとめる。
(2024年12月時点の情報)

  • POPs = Persistent Organic Pollutants(残留性有機汚染物質)の略
  • POPsとは:有害性(人の健康・生態系)、難分解性、生物蓄積性、長距離移動性を持つ物質のこと。
  • POPs条約の目的:人間の健康と環境をPOPs(残留性有機汚染物質)から保護すること。(POPs条約第1条より)
  • 条約の概要:POPsの製造と使用の廃絶・制限、排出の削減、POPsを含む廃棄物等の是正処理等を規定している。
  • POPs条約発効の経緯:2001年5月22日にスウェーデンのストックホルムで開催された外交会議にて条約が採択され、2004年5月17日に条約が発効した。
  • 加盟国の主な義務の内容
    • 製造・使用、輸出入の原則禁止 ⇒ 附属書Aに記載
    • 製造・使用、輸出入の制限 ⇒ 附属書Bに記載
    • 非意図的生成物の排出の削減及び廃絶 ⇒ 附属書Cに記載
    • 新規POPsの製造・使用防止のための措置
    • 在庫、廃棄物の是正処理
    • POPs対策に関する国内実施計画の策定
    • POPsに関する調査研究、モニタリング、情報公開、教育等
  • 附属書の説明
    POPs条約の附属書には以下の内容が記載されている。

附属書A

廃絶 (PCB、PFOA等)

附属書B

制限(DDT、PFOS等)

附属書C

非意図的生成

附属書D

情報の要件及び選別のための基準

附属書E

危険性の概要に関する情報の要件

附属書F

社会経済上の検討に関する情報

<参考情報>

対象物質追加の流れ

対象物質が追加される流れは、以下のフロー図のとおり。

POPs条約で対象となった物質は各国の国内法で規制される

  • 附属書改正の通知より1年の猶予をもって国内法で規制
  • 条約発効後2年以内に国内実施計画作成 (POPs条約第7条より)

<参考情報>

日本国内での取り組み

  • POPs条約を国内法に
    • POPs条約から国内法に転換する際、附属書Aの個別の適用除外を考慮して設定。
    • 適用除外には5年間の期限があるが、延長もできる(申請が必要)。
    • 日本国内では化審法で規制される。
  • 国内実施計画には、主に以下の内容が記載されている。
    • POPsの製造・使用・輸出入を防止することを目的とした規制のための措置
    • 非意図的生成物の排出削減のための行動計画
    • ポリ塩化ビフェニル(PCB)廃絶のための取組
    • 在庫及び廃棄物の適正処理等のための取組

国内実施計画 -POPs条約と国内法の関係-

<参考情報>

対象物質の状況(2024年12月時点)

  • 既に検討が終わり、附属書A/B/Cに収載されている物質の情報

附属書

対象物質

A(廃絶)

アルドリン クロルデン クロルデコン
デカブロモジフェニルエーテル (市販混合物、c-デカBDE) ディルドリン
エンドリン ヘプタクロル ヘキサブロモビフェニル
ヘキサブロモシクロドデカン(HBCDD)
ヘキサブロモジフェニルエーテル及びヘプタブロモジフェニルエーテル
ヘキサクロロベンゼン(HCB) ヘキサクロロブタジエン
α-ヘキサクロロシクロヘキサン β-ヘキサクロロシクロヘキサン リンデン
マイレックス ペンタクロロベンゼン
ペンタクロロフェノール並びにその塩及びエステル ポリ塩化ビフェニル(PCB)
ポリ塩化ナフタレン 短鎖塩素化パラフィン(SCCP)
工業用エンドスルファンおよびその関連異性体
テトラブロモジフェニルエーテル及びペンタブロモジフェニルエーテル
トキサフェン
ジコフォル (※1)
ペルフルオロオクタン酸(PFOA)とその塩及びPFOA関連化合物 (※2)
ペルフルオロヘキサンスルホン酸(PFHxS)とその塩及びPFHxS関連物質 (※3)
デクロランプラス (※4)、UV-328 (※4)、メトキシクロル (※4)

B(制限)

DDT ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)とその塩
ペルフルオロオクタンスルホニルフルオリド(PFOSF)

C(非意図的生成)

ヘキサクロロベンゼン(HCB) ヘキサクロロブタジエン(HCBD)
ペンタクロロベンゼン ポリ塩化ビフェニル(PCB)
ポリ塩化ジベンゾ-p-ジオキシン類(PCDD) ポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)
ポリ塩化ナフタレン

  • ※1
    ジコフォル
     - 化審法第一種特定化学物質に指定、2021年10月施行。
  • ※2
    ペルフルオロオクタン酸(PFOA)とその塩及びPFOA関連物質
     - PFOAとその塩に加えて、PFOA関連物質も化審法第一種特定化学物質に指定された。
     - PFOAとその塩は2021年10月施行、関連物質は2025年1月施行予定。
  • ※3
    ペルフルオロヘキサンスルホン酸(PFHxS)とその塩及びPFHxS関連物質
     - COP10(2022年6月)で付属書Aへの追加が決定。
     - PFHxSとその塩について、化審法第一種特定化学物質に指定。2024年2月施行。
     - 関連物質について、2025年以降審議・施行予定。
  • ※4
    デクロランプラス、UV-328、メトキシクロル
     - COP11(2023年5月)で付属書Aへの追加が決定。
     - 2024年12月18日 化審法第一種特定化学物質に追加する官報公布。
     - 2025年以降施行予定。

<参考情報>

候補物質の状況について(2024年12月時点)

  • デクロランプラス、UV-328、メトキシクロル:COP11 (2023年5月) で附属書Aへの追加が決定。
  • MCCP(medium-chain chlorinated paraffins)、長鎖PFCA(Long-chain perfluorocarboxylic acids):
    POPRC19(2023年10月)で、附属書A(廃絶)への追加を締約国会議に勧告することが決定。
    POPRC20(2024年9月)で、MCCPの定義の範囲、長鎖PFCAの適用除外用途について引き続き議論された。
  • クロルピリホス:
    POPRC20(2024年9月)で、附属書A(廃絶)への追加を締約国会議に勧告することが決定。
  • 臭素化ダイオキシン類(ポリ臭素化ジベンゾ-p-ジオキシン及びジベンゾフラン):
    POPRC20(2024年9月)で、POPRC21に向けてリスクプロファイル案を作成する段階に進めることが決定。

候補物質の審議プロセス図

<参考情報>

参考HPまとめ

  • POPs条約(英語)
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