重量物搬送装置としてホイスト式クレーンに使用される電気ホイスト及びクレーンサドルは、比較的設備投資効果が大きく、あらゆる分野で多く使用されております。ホイスト式クレーンの故障は単に設備稼働停止ということだけではなく、作業の安全に係わる重要な問題です。
ホイスト式クレーンの信頼性、安全性の確保のために、ホイスト及びサドルの更新計画(リニュ ーアル)の目安としていただけるよう技術的、経済的にみた更新推奨時期をご提案いたします。
機器の劣化故障パターン
対象機器と規格
機器 |
規格 |
内容 |
電気ホイスト |
JIS C 9620:1999 |
三相かご形誘導電動機を用い、ワイヤーロープが巻き付けてあるドラムを減速回転させることによって、荷の巻上げ及び巻下げを行う装置。 |
クレーンサドル |
JEM 1418:2002 |
天井クレーンにおいて走行車輪を持ち、荷を水平移動させる装置。 |
更新時期の考え方
古いホイスト及びサドルをご使用されていて、操作中に安全性を気にしながら作業をしておられませんか?
運搬作業に注意を集中できることによる、安全性の向上
耐用年数を経過したものでは、故障率が高くなり、修理費などの維持費が多くかかります。
また、それ以上にホイスト及びサドルの故障による荷役停止は、多大な経費ロスが発生します。
作業能率と経済性の向上
更新推奨時期 (10年)
更新推奨時期は、機能及び性能に対する製造業者の保証値ではなく、通常の保守・点検をおこ なって使用した場合に、その性能を十分に維持できる期間です。
電気ホイスト及びクレーンサドルは、使用条件と寿命時間をもとに設計されています。以下に耐用年数の計算事例を示します。
周囲環境により、使用時間、荷重率は異なりますが、一般的なクレーンの使用条件としては、次のように想定しています。
(この使用状況は、クレーン構造規格、別表第3のつり上げ装置等級A~Fの中の等級Cに該当)
使用条件 |
1日の使用時間 |
8時間 |
稼働率(電動機通電率) |
25%ED |
1年間の稼働日数 |
250日 |
荷重率 |
定格荷重の63% |
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1年間の運転時間 |
8時間×0.25×250日=500時間 |
|||
寿命時間 |
5000時間 |
耐用年数=5000(時間)/500(時間/年)=10(年)
インバータホイストへの更新
更新の際には、近年の電子技術の発展により、使い勝手が良く、経済的なインバータホイストをおすすめします。
インバータホイストをお使いになりますと、緩起動、緩停止により衝撃が少なく、機械構造部分の負荷が軽減されます。
減速停止を基本としているため、ブレーキ板の寿命が大幅に伸びます。
無接点方式の為、制御機器への負担がありません。