風車の構造

現在の典型的な大型水平軸風車は、3枚程度の翼(ブレード)と発電機などの機器を格納するナセル、およびそれを支えるモノポールタワーと基礎によって構成されます。
2MW級の風車において、地上からナセルまでの高さは60~100mあり、ブレード先端の最高到達位置は100~150mに達します。また重量は、ナセル部の重量で約100トン、ブレードとタワーを含めた全体質量は約300トンとなる巨大構造物です。
洋上風力発電所用の風車ではさらに大型化が進み、3~15MW級、ロータ径120~250m級の総質量で1,000トンを超えるものが出てきています。
また陸上用では、風力発電所の立地点が低風速領域まで広がる傾向が有り、100mを超えるタワーを用いハブ高を上げる動きがあります。

陸上風車と洋上風車の大きさの概要

出典 JEMA第111回新エネルギー講演会 経済産業省風力政策室講演資料

ナセル内部には下図のように、ブレード・主軸の回転を支える軸受、その回転エネルギーを電気に変換する発電機、必要のない機種もあるがブレードの回転数を発電機に適した回転数に増速するギヤボックス(増速機)、各種制御機器などが設置されています。風車の構成部品数は2MW級風車で約1~2万点と言われており、電気・制御品、鉄鋼品、機械品、油圧機器、樹脂成型品などの大小多種多様な部品の集合体です。これらの構成部品は、風車特有の荷重・環境条件より、汎用品ではなく風車専用品も少なくありません。

ナセル構造(ギヤドライブ・増速機有り)

アップウィンド・ナセル構造(ダイレクトドライブ・増速機無し)

ブレードが受ける軸方向(スラスト)荷重及び軸直角方向(ラジアル)荷重は、主軸(ロータ軸)と軸受、増速機などで支持されます。代表的なロータ(ブレード、ハブなどで構成される回転する部分)の支持方式とその特徴は、下表のとおりです。

代表的な支持方式とその特徴

ロータ支持型式

概略構造図

特徴

主軸受2組
(Four Point Suspension)

  • 風荷重を主軸用軸受の2組で支持(分離ハウジング)
  • 安定した支持方式であるが、ナセルの大型化につながる

主軸受+増速機
(Three Point Suspension)

  • 風荷重を主軸用1組と増速機サポート2点、合計3点で支持
  • 安定した支持方式であり、ナセルも上記形式に比べコンパクトとなる

主軸受1組

  • 風荷重をハブに直結した主軸受1組で支持
  • ナセルをコンパクトにできるが、軸受への負荷が大きく設計の難易度は高い

主軸受1組
発電機軸受と共有
(ダイレクトドライブ用)

  • 風荷重と発電機ロータ荷重をハブに直結した主軸受1組で支持
  • ナセルがコンパクトとなるが、軸受への負荷が大きく設計の難易度は高い

ハブ内蔵軸受2組
(ダイレクトドライブにも適用例有)

  • 風荷重をハブ内部に設置される2組の軸受で支持
  • 構造が複雑となるが、安定した支持が可能であり、ナセルのコンパクト化も可能
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