わが国の原子力発電の現状

原子力は、燃料投入量に対するエネルギー出力が圧倒的に大きく、数年にわたって国内保有燃料だけで生産が維持できる低炭素の準国産エネルギー源として、優れた安定供給性と効率性を有しており、運転コストが低廉で変動も少なく、運転時には温室効果ガスの排出もないことから、安全性の確保を大前提に、長期的なエネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源です。

2024年1月末現在、わが国には合計36基の商用原子力発電所があります。廃止措置が決定した原子力発電所は、24基(内3基は東日本大震災前に廃止措置決定)があります。現在は、東日本大震災後に改正された新規制に合格した原子力発電所から、順次再稼働を行っています。

その他、2024年1月末時点で、以下の原子力発電所が建設中です。

・中国電力(株) 島根原子力発電所3号機
・電源開発(株) 大間原子力発電所
・東京電力ホールディングス(株) 東通原子力発電所1号機

さらに2025年2月に閣議決定した「第7次エネルギー基本計画」では、「脱炭素電源としての原子力を活用していくため、原子力の安全性向上を目指し、新たな安全メカニズムを組み込んだ次世代革新炉の開発・設置に取り組む。」とされています。国内外では、設計段階から新たな安全メカニズムを組み込んだ「革新軽水炉」、小出力を活かした自然循環により、冷却ポンプ、外部電源なしで炉心冷却を可能とする「小型軽水炉」、高温熱を活かした準国産のカーボンフリーの水素や熱の供給により期待される「高温ガス炉」、高レベル放射性廃棄物の減容化・有害度低減や資源の有効利用等に資する「高速炉」など、次世代革新炉の実用化に向けて開発が進められています。
フュージョンエネルギーについては、「フュージョンエネルギー・イノベーション戦略」を踏まえ、早期実現と産業化を目指し、国際熱核融合実験炉ITER、トカマク型超伝導プラズマ実験装置JT-60SA等で培った技術や人材を最大限活用し、技術成熟度を高めるべく、スタートアップを含めた官民の研究開発力を強化するとされています。

世界の原子力発電の現状

2024年3月1日現在、世界で運転中の原子力発電所基数は433基、設備容量は約412GWとなっています。 2000年以降は中国・ロシアを中心に原子力発電所の新規建設が進んできましたが、近年では欧米においても2050年カーボンニュートラルを目指して、小型炉を中心に急速にニーズが高まっています。

核燃料サイクルの現状

わが国は、資源の有効利用、高レベル放射性廃棄物の減容化・有害度低減等の観点から、使用済燃料を再処理し、回収されるプルトニウム等を有効利用する核燃料サイクルの推進を基本的方針としています。その要となる六ヶ所再処理工場は、着実に竣工に向けて準備が行われるとともに、高レベル放射性廃棄物の処分事業についても、国を挙げて国民理解の促進と立地に向けた努力が続けられています。

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