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2. 国の政策と取り組み

2.1 新たなエネルギーシステムの構築に向けて

2015年6月に閣議決定された「改革2020プロジェクト」において、分散する再生可能エネルギーや蓄電池等を一つの発電所(仮想発電所)のように機能させる新たなエネルギーマネジメントシステムを確立する方針が示されました。これを受けて、2016年4月に決定された「エネルギー革新戦略(中間とりまとめ)」において、アグリゲーターが電力グリッド上に散在する需要家側のエネルギーリソース(PV、蓄電池、EV、ネガワット等)をIoTを活用して統合制御し、小売や送配電事業者の需給調整に活用されることを目指すことが表明され、そのための政策推進の場として、産学のトップマネジメント層で構成されるERABフォーラムと、官主体の実務的検討の場であるERAB検討会が相互に連携しながらビジネス立上げに向けた検討を進めていくことになりました。

2.2 国の委員会、研究会等

  1. スマートハウス・ビル標準・事業促進検討会 (2012年6月~)
        (経済産業省 商務情報政策局 情報経済課)
    ・ HEMSと接続機器及びスマートメーターとの間の公知な標準インターフェースとしてECHONET-Liteを推奨することが決定されたことを受けて2012年6月に設立された。2017年4月の第10回検討会では、EMSに係わる検討はERAB検討会に集約し、新たに設置する普及促進TFにおいて、家庭内スマートデバイスの利用促進に向けて、機器のネットワーク接続に関する課題やECHONET Liteの海外普及に取り組む方針が示された。

  2. エネルギー・リソース・アグリゲーション・ビジネス検討会(2016年1月~)
        (経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部 新エネルギーシステム課)  
    ・ アグリゲーションビジネスの全体方針を策定すると共に当該ビジネスの発展を支援するために設立され、通信規格の整備や、ネガワット取引の市場環境整備、サイバーセキュリティの検討などの課題について検討が進められている。
    ・ 2020年8月に再生可能エネルギー大量導入小委員会・再生可能エネルギー主力電源化小委員会から多様化するアグリゲーションビジネスに係る課題を整理することがタスクアウトされたことを受け、第13回(同年10月21日)で(1)制度設計の検討、(2)技術課題克服の支援、(3)情報分析・発信を柱とする今後の活動方針が提示された。

  3. ZEHロードマップフォローアップ委員会(2017年7月~)
        (経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部 省エネルギー課、
            国土交通省 住宅局住宅生産課、環境省 地球環境局地球温暖化対策課)  
    ・ ZEHロードマップの進捗フォローアップ、2020年目標(新築注文戸建て住宅の過半数をZEHにする)の達成、及び2030年目標(新築住宅の平均でZEHを実現)の課題と対応の検討を行っており、2018年5月と2020年4月に具体的な施策についての取りまとめが公開された。2020年度は、第5次エネルギー基本計画で示した2020年の目標達成が困難な状況にあることも踏まえ、2030年目標の達成に向けたZEHの着工数増加と性能向上に向けた検討が進められている。

  4. 集合住宅におけるZEHロードマップ検討委員会(2017年9月~)
        (経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部 省エネルギー課、
            国土交通省 住宅局住宅生産課、環境省 地球環境局地球温暖化対策課)  
    ・ 集合住宅における ZEH(以下「集合 ZEH」という)の定義を確立し、集合 ZEH の現状と課題及びそれに対する対応の方向性を検討するために設立され、2030 年までの長期を見据えた集合ZEHの普及に係る諸課題に対する対応の方向性を整理している。 2019年3月にZEHの定義<集合住宅> が改訂された。

  5. 再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会(2017年12月~)
        (経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部 省エネルギー課、
            資源エネルギー庁 電力・ガス事業部 電力基盤整備課 電力流通室)  
    ・ 再生可能エネルギーの大量導入とそれを支える次世代電力ネットワークの在り方、および住宅用太陽光発電に係る2019年以降のFIT買取期間終了を契機とした対応について、政策対応の具体化に向けた検討が行われている。2019年8月にはFIT制度の抜本見直しと再エネ政策の再構築に向けての議論の方向性をとりまとめた中間整理(第3次)が公開された。2020年度は、再生可能エネルギー主力電源化制度改革小委員会(下記6.)との合同開催で、FIP制度の詳細検討や期間送電線の利用ルール見直しなどを実施中。

  6. 再生可能エネルギー主力電源化制度改革小委員会(2019年9月~)
        (経済産業省 資源エネルギー庁)  
    ・再生可能エネルギーの主力電源化に向けた更なる環境整備について、政策対応の具体化に向けた検討を目的に、総合資源エネルギー調査会基本政策分科会の下に設置された。2020年2月に中間とりまとめが公表され、2020年度からは上記5.と合同開催されている。

  7. 持続可能な電力システム構築小委員会(2019年11月~)
         (経済産業省 資源エネルギー庁)  
    ・ 発電から送配電に至るまでの電力システム再構築し、中長期的な環境変化に対応可能な強靱化を図るための具体方策ついての検討を目的に、総合資源エネルギー調査会基本政策分科会の下に設置された。2020年2月に中間とりまとめが公表され、2020年度は、「エネルギー供給強靱化法」の成立を受けた詳細設計に関する議論を行っている。

  8. 次世代技術を活用した新たな電力プラットフォームの在り方研究会(2018年10月~)
        (経済産業省 資源エネルギー庁 電力・ガス事業部 電力産業・市場室/電力基盤整備課)  
    ・ 2030年以降も見据えた中長期的視点に立ち、電力ネットワークにおける安定供給性、環境適合性、効率性の更なる高度化の実現に向けた課題や論点について、テクノロジーの進展と新たなビジネスの出現も含めた様々な視座から検討が行われている。2020年度は、電力事業のさらなる環境整備の検討を進めるにあたっての、鍵となる視点、視座、キーワードを抽出して検討を深化させる方向。

  9. 特定計量制度及び差分計量に係る検討委員会(2020年9月~)
        (経済産業省 資源エネルギー庁 電力・ガス事業部 電力産業・市場室)  
    ・ 「エネルギー供給強靱化法」の成立を受けて、分散型リソースの活用促進に向けた電気計量制度の合理化を図る「特定計量制度」の詳細設計を行うために、特に事業者が従うべき基準等について技術的な観点から審議するための検討会として上記7.の小委員会のもとに設置された。

  10. 次世代スマートメーター制度検討会(2020年9月~)
        (経済産業省 資源エネルギー庁 電力・ガス事業部 電力産業・市場室)  
    ・ 分散型エネルギーリソースの導入拡大やFIP制度の導入、電気事業法の改正等により、スマートメーターやその計測データは、アグリゲーションやP2Pビジネス、マイクログリッド運用のほか様々な分野での消費者の利便性向上に活用されることが期待されている。このような背景のもと、現行のスマートメーターが2024年度から順次新たなメーターへの交換が始まる予定であることから、電力やその周辺ビジネスの将来像を踏まえた新仕様とするべくスマートメーター制度検討会が再開された。