POPs条約 基本情報
POPs条約
残留性有機汚染物質に関する「ストックホルム条約(POPs条約)」について、以下にまとめる。
(2023年10月時点の情報)
■ POPs = Persistent Organic Pollutants(残留性有機汚染物質)の略
■ POPsとは:有害性(人の健康・生態系)、難分解性、生物蓄積性、長距離移動性を持つ物質のこと。
■ POPs条約の目的:人間の健康と環境をPOPs(残留性有機汚染物質)から保護すること。(POPs条約第1条より)
■ 条約の概要:POPsの製造と使用の廃絶・制限、排出の削減、POPsを含む廃棄物等の是正処理等を規定している。
■ POPs条約発効の経緯:2001年5月22日にスウェーデンのストックホルムで開催された外交会議にて条約が採択され、
2004年5月17日に条約が発効した。
■ 加盟国の主な義務の内容
● 製造・使用、輸出入の原則禁止 ⇒ 附属書Aに記載
● 製造・使用、輸出入の制限 ⇒ 附属書Bに記載
● 非意図的生成物の排出の削減及び廃絶 ⇒ 附属書Cに記載
● 新規POPsの製造・使用防止のための措置
● 在庫、廃棄物の是正処理
● POPs対策に関する国内実施計画の策定
● POPsに関する調査研究、モニタリング、情報公開、教育等
■ 附属書の説明
POPs条約の附属書には以下の内容が記載されている。
附属書A | 廃絶 (PCB、PFOA等) |
附属書B | 制限(DDT、PFOS等) |
附属書C | 非意図的生成 |
附属書D | 情報の要件及び選別のための基準 |
附属書E | 危険性の概要に関する情報の要件 |
附属書F | 社会経済上の検討に関する情報 |
<参考情報>
POPs条約 条文(STOCKHOLM CONVENTION HP)
POPs条約 条文(環境省HP、日本語)
対象物質追加の流れ
対象物質が追加される流れは、以下のフロー図のとおり。
POPs条約で対象となった物質は各国の国内法で規制される
● 附属書改正の通知より1年の猶予をもって国内法で規制
● 条約発効後2年以内に国内実施計画作成 (POPs条約第7条より)
<参考情報>
STOCKHOLM CONVENTION HP 対象物質追加の流れ
日本国内での取り組み
■ POPs条約を国内法に
● POPs条約から国内法に転換する際、附属書Aの個別の適用除外を考慮して設定。
● 適用除外には5年間の期限があるが、延長もできる(申請が必要)。
● 日本国内では化審法で規制される。
■ 国内実施計画には、主に以下の内容が記載されている。
● POPsの製造・使用・輸出入を防止することを目的とした規制のための措置
● 非意図的生成物の排出削減のための行動計画
● ポリ塩化ビフェニル(PCB)廃絶のための取組
● 在庫及び廃棄物の適正処理等のための取組
<参考情報>
POPs条約に基づく国内実施計画(環境省HP)
対象物質の状況(2023年10月時点)
■ 既に検討が終わり、附属書A/B/Cに収載されている物質の情報
附属書 | 対象物質 |
---|---|
A(廃絶) | アルドリン クロルデン クロルデコン デカブロモジフェニルエーテル (市販混合物、c-デカBDE) ディルドリン エンドリン ヘプタクロル ヘキサブロモビフェニル ヘキサブロモシクロドデカン(HBCDD) ヘキサブロモジフェニルエーテル及びヘプタブロモジフェニルエーテル ヘキサクロロベンゼン(HCB) ヘキサクロロブタジエン α-ヘキサクロロシクロヘキサン β-ヘキサクロロシクロヘキサン リンデン マイレックス ペンタクロロベンゼン ペンタクロロフェノール並びにその塩及びエステル ポリ塩化ビフェニル(PCB) ポリ塩化ナフタレン 短鎖塩素化パラフィン(SCCP) 工業用エンドスルファンおよびその関連異性体 テトラブロモジフェニルエーテル及びペンタブロモジフェニルエーテル トキサフェン ジコフォル (※1) ペルフルオロオクタン酸(PFOA)とその塩及びPFOA関連化合物 (※1) ペルフルオロヘキサンスルホン酸(PFHxS)とその塩及びPFHxS関連物質 (※2) デクロランプラス (※3)、UV-328 (※3)、メトキシクロル (※3) |
B(制限) | DDT、ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)とその塩、 ペルフルオロオクタンスルホニルフルオリド(PFOSF) |
C(非意図的生成) | ヘキサクロロベンゼン(HCB)、ヘキサクロロブタジエン(HCBD) ペンタクロロベンゼン、ポリ塩化ビフェニル(PCB) ポリ塩化ジベンゾ-p-ジオキシン類(PCDD)、ポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF) ポリ塩化ナフタレン |
(※1)ジコフォル、ペルフルオロオクタン酸(PFOA)とその塩
⇒ 化審法改定 第一種特定化学物質に指定、2021年10月施行
(※2)ペルフルオロヘキサンスルホン酸(PFHxS)とその塩及びPFHxS関連物質
⇒ COP10 (2022年6月) で附属書Aへの追加が決定。
国内では化審法第一種特定化学物質として指定予定。
手続きを経て2023年9月頃政令公布、2024年春以降施行予定。
(※3)デクロランプラス、UV-328、メトキシクロル
⇒ COP11 (2023年5月) で附属書Aへの追加が決定。
国内では化審法第一種特定化学物質として指定予定。
<参考情報>
STOCKHOLM CONVENTION HP 対象物質一覧
POPs条約対象物質(経済産業省HP)
化審法に関する最新情報(経済産業省HP)
化審法 パブリックコメントの状況(経済産業省HP)
候補物質の状況について(2023年10月時点)
■ デクロランプラス、UV-328、メトキシクロル:COP11 (2023年5月) で附属書Aへの追加が決定。
■ MCCP(medium-chain chlorinated paraffins)、長鎖PFCA:
POPRC19(2023年10月)で、附属書A(廃絶)への追加を締約国会議に勧告することが決定。
■ クロルピリホス:
リスクプロファイル案の審議の結果、POPRC20(2024年9月予定)でリスク管理に関する評価を検討することが決定。
<参考情報>
STOCKHOLM CONVENTION HP 候補物質の情報
参考HPまとめ
■ POPs条約(英語)
・STOCKHOLM CONVENTION HP :最新の情報等もHPより確認できる。
‐ STOCKHOLM CONVENTION HPの中の情報の場所
・POPs条約条文 :Stockholm Convention > The Convention > Overview > Text of the Convention
・締約国、締約状況 :Stockholm Convention > Countries > Status of Ratifications > Parties and Signatoires
・制限物質の情報 :Stockholm Convention > The Convention > The POPs > All POPs
・候補物質の情報 :Stockholm Convention > The Convention > The POPs > Chemicals Proposed for Listing
■ POPs条約(日本語)
・POPs条約条文、我が国の取り組みについて(環境省HP)
・POPsパンフレット(環境省HP)
・POPs条約の基本情報・対象物質・候補物質等(経済産業省HP)
■ 国内法に反映される際のパブリックコメント募集
・e-gov (総務省HP)パブリックコメント案件一覧 意見募集案件
■ 国内法に反映される際のパブリックコメント結果
・e-gov (総務省HP)パブリックコメント案件一覧 結果公示案件