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JEMA自主基準 炭化水素系冷媒使用の家庭用電気冷蔵庫について

6. 炭化水素系の冷媒・断熱材発泡剤の処理に関するQ&A

ここでご紹介するQ&Aは、ノンフロン冷蔵庫に使用されている炭化水素系の冷媒や断熱材発泡剤について、日本電機工業会や会員会社が、内外よりお問い合わせ頂いた内容を整理したものです。主に炭化水素の地球環境への影響度や、リサイクル時の処理についてまとめました。

Q1. ノンフロン冷蔵庫とは、どのような冷蔵庫ですか?
A1. 冷媒及び断熱材発泡剤の双方ともフロンを使用しない冷蔵庫です。冷媒にアンモニアを用いた吸収式冷蔵庫やペルチェ方式冷蔵庫の場合は、その方式が明記されます。
Q2. ノンフロン冷蔵庫の冷媒及び断熱材発泡剤には、どのような物質が使用されていますか?
A2. 炭化水素系の物質が使用されています。冷媒にはイソブタン(R600a)、断熱材発泡剤には、シクロペンタンが使用されています。
Q3. イソブタンやシクロペンタンは代替フロンと比較して、どのように環境にやさしいのですか?
A3. イソブタンとシクロペンタンは、従来使用してきた代替フロンのHFC134aと比較して地球温暖化係数が約400分の1の物質です。もちろんオゾン層を破壊することはありません。

  代替フロン(HFC134a) イソブタン(R600a) シクロペンタン
オゾン破壊係数
地球温暖化係数(CO2
1とした場合)
1300
Q4. シクロペンタンやイソブタンを採用した理由は何ですか?
A4. 以前、冷蔵庫に使われていた特定フロン(CFC11:断熱材発泡剤,CFC12:冷媒)はオゾン層を破壊し、地球温暖化の影響も大きいため、1996年から製造が禁止されています。塩素を含まない代替フロン(HFC134a等)はオゾン層を破壊しませんが、地球温暖化の影響があるため、オゾン層を破壊せず、地球温暖化の影響も極めて小さいシクロペンタンやイソブタンを採用しています。
Q5. シクロペンタンやイソブタンを使った冷蔵庫は従来のフロンを使った冷蔵庫に比べて消費電力量が大きいのですか?
A5. いいえ。断熱性能や冷却性能は従来のフロンを使った冷蔵庫に劣ることはありません。
Q6. イソブタンなどの炭化水素の安全性は?
A6. 炭化水素は可燃性の物質です。取り扱いに関しては、高圧ガス保安法,消防法などで取決められています。
ノンフロン冷蔵庫の安全性については、電気用品安全法により技術基準が定められており、基準に従って製品が作られています。たとえば、家庭用冷蔵庫のイソブタンの使用量は、100g以下に制限されています。
Q7. 冷蔵庫に使用されている冷媒や断熱材発泡剤のフロンは、リサイクル時にはどのように処理されるのですか?
A7. 冷媒フロンは、家電リサイクル法(特定家庭用機器再商品化法)に従い、冷媒回収機によって回収された後、無害化処理されています。断熱材発泡剤として使用されているフロンは、主として、断熱材を破砕し、気泡から出たフロンガスを活性炭で吸着し、液化回収しています。液化回収されたフロンは冷媒同様に無害化処理されます。
Q8. ノンフロン冷蔵庫に使用されているイソブタンやシクロペンタンは、リサイクル処理の際に、回収・破壊が必要ですか?
A8. 炭化水素系の冷媒については、オゾン層を破壊せず、地球温暖化係数も極めて小さいため、 回収・適正処理は義務付けられていません。現在、家電リサイクル法で回収・適正処理を義務付けられているのは、冷蔵庫の場合は冷媒フロン(CFC,HCFC,HFCなど)です。欧州では、地球温暖化係数が15以下であるイソブタンやシクロペンタンは、回収の必要はないと決定されています。
Q9. ノンフロン冷蔵庫のリサイクルにおいて、イソブタンはどのように取り扱われるのですか?
A9. A8.で記されているように、回収・処理の必要はありません。
1kgのイソブタンを燃焼させた場合、3.034kgの二酸化炭素(CO2)が発生しますので、地球温暖化係数(CO2を1とした場合、イソブタンは3)との関係から、わずかではありますが、イソブタンを燃焼処理するよりもそのまま排気した方が地球温暖化への影響は少ないと言えます。
Q10. 断熱材発泡剤に使用されているシクロペンタンはどのように取り扱われるのですか?
A10. シクロペンタンはイソブタンと同じ炭化水素で、そのまま排気しても、地球温暖化に与える影響は、極めて小さいものです。
Q11. ノンフロン冷蔵庫のリサイクル処理にはどんな注意が必要ですか?
A11. 冷媒にイソブタンを使っている冷蔵庫は、従来のフロンを使っている冷蔵庫と分けて処理する必要があります。冷蔵庫の背面・コンプレッサ・庫内の3ヶ所にイソブタン(R600a)を使用していることを示すラベルがあり、簡単に見分けることができるようになっています。
イソブタンは可燃性なので、破砕処理する前に冷蔵庫から抜き出す必要があります。
また、イソブタンは空気よりも重いガスなので、抜き出したガスが床面など下に滞留しないように屋外の風通しの良い場所、あるいは屋内であれば局所排気されている場所で抜き取り作業をする必要があります。
断熱材の発泡剤に使われているシクロペンタンはイソブタンと同じく回収・処理する必要はありませんが、破砕処理の前に抜き取ることができないため、安全に処理できる破砕の条件設定が必要になります。