JEMA自主基準 炭化水素系冷媒使用の家庭用電気冷蔵庫について
3. 業界自主基準策定の必要性
HC冷媒とは、ブタン、イソブタン、プロパン等をいい、そのまま大気に放出されてもオゾン層破壊係数は0で、地球温暖化への影響が極めて少ない物質ですが、可燃性であることから、冷媒漏れ等による燃焼・爆発の危険性があるため安全性の確保に充分なる配慮が必要とされます。日本でも地球温暖化防止の観点からHC冷蔵庫への商品化の声が高まり、JEMAにおいて安全性に関する検討を開始しました。
欧州と日本の気候の違い(欧州:低温低湿、日本:高温高湿)により、家庭用冷蔵庫の構造が異なります。欧州では、湿度が低いため霜取りヒーターを必要としない手動霜取りの冷気自然対流方式(冷媒配管を内箱に貼り付け壁面からまたは蒸発器の部分を直接庫内にさらすことで食品を冷却するもの)のため庫内の電気部品は少なく、日本(アジア地区)では、高湿度のため、霜取りヒーターを必要とする自動霜取りの冷気強制循環方式(蒸発器部分から強制的に空気を循環させる方法で庫内の食品を冷却するもの)を採用しているため、庫内に着火源となる電気部品が多くなります。また欧州では中型クラス(300L以下)までが主流ですが、日本では中型以上のクラス(300L以上)が主流であることから、欧州に比較して冷媒充填量が多くなる傾向にあります。さらに日本の冷蔵庫の設置環境においては木造家屋が主体であることや、冷蔵庫の設置場所が狭い等の理由により、より慎重な対応が必要となります。
しかし、現時点では日本にHC冷蔵庫の安全性に関する技術基準がないことと、欧州と冷蔵庫の形態、住宅、食習慣等が異なる理由から、日本で使用されるHC冷蔵庫の製品安全基準及び流通・修理・廃棄における安全性を確保するための業界自主基準の策定が必要と考えました。