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汎用インバータ及びサーボアンプの高調波抑制対策について

2021.10.20

1. はじめに

近年,エレクトロニクス技術を応用した電気機器は急速な普及を示し,産業分野における省力化,自動化になくてはならない存在となっております。これに伴い,エレクトロニクス機器から発生する高調波電流が他の電気機器へ障害を与えるという問題が発生し,1994年9月に通商産業省(現:経済産業省)資源エネルギー庁から「高圧又は特別高圧で受電する需要家の高調波抑制対策ガイドライン」が制定され,日本電気協会から,同ガイドラインに基づく,高調波抑制対策技術指針JEAG 9702が発行されております。

・2013年にJEAG 9702が改正されたことを受けて,内容を見直ししました。JEAG 9702の主な改正点は2.を
 参照ください。

・2018年にJEAG9702の問合せ事項反映などの軽微な改正が行われたことを受けて、一部内容を見直しました。

2. 高調波抑制対策技術指針JEAG 9702の主な改正点

JEAG 9702は,2013年に18年振りに改正されました。主な改正点は次の通りです。

①製造業者における高調波発生機器の明示に関する規定追加
高調波発生機器の抽出漏れが生じないように,製造業者は高調波発生機器を明示することを新たに規定されたことを受け,各社のカタログ又は仕様書*に換算係数を記載することになりました。

② 高調波発生機器の換算係数の最新化(表参照)

③ 「ビル全体の最大稼働率」の設定
ビル全体の最大稼働率が設定されたことで,機器毎に最大稼働率の設定が不要になりました。ビルは「事務所・ホテル・店舗・学校・病院等(工場を除く)の建物」※1と定義されています。

④ 直列リアクトル付進相コンデンサを設置する場合の高調波低減効果に関する規定追加
直列リアクトル付進相コンデンサを高圧側に設置する場合には,系統側の高調波電圧低減に大きな効果があるため,直列リアクトル付進相コンデンサを設置した需要家の高調波流出電流の算出について低減係数が設けられました。

⑤ 個々のケースに応じた「計算書」の作成方法,説明の追加

※1) 2018年のJEAG 9702改正により,ビルについては工場以外であることが明確化されたため,“(工場を
  除く)”が追加されました。

3. 汎用インバータ及びサーボアンプの高調波抑制対策の概要

高調波は,高調波発生機器を有する需要家の構内にとどまらず,当該電力系統に接続されている機器に影響するため,1994年9月に通商産業省(現:経済産業省)資源エネルギー庁から「高圧又は特別高圧で受電する需要家の高調波抑制対策ガイドライン」が発行されています。ガイドラインは,高圧又は特別高圧で受電する需要家(特定需要家)が高調波発生機器を新設,増設又は更新する際や契約電力,受電電圧を変更する際に,その需要家から流出する高調波電流の上限値を規定したものです。

2004 年 1 月に「高圧又は特別高圧で受電する需要家の高調波抑制対策ガイドライン」が改正、2004 年 9 月に「家電・汎用品高調波抑制ガイドライン」が廃止されたことで、汎用インバータ及びサーボアンプ単体は,全ての容量範囲で「高圧又は特別高圧で受電する需要家の高調波抑制対策ガイドライン」の抽出対象となりました。

汎用インバータ及びサーボアンプは,高調波発生機器であり,対象になる需要家は,ガイドラインの定める等価容量計算や高調波流出電流の計算に従った判定により上限値以下になるよう必要な対策を行わなければなりません。

ガイドラインでは,高調波抑制対策の基本的事項が示されていますが実務面の具体的な運用は記載されてはいないため,JEAG 9702を用いて対策を実施します。また,一般社団法人 日本電機工業会では,技術資料「特定需要家における汎用インバータの高調波電流計算方法」(JEM-TR 201)及び「特定需要家におけるサーボアンプの高調波電流計算方法」(JEM-TR 225)を発行しています。

ガイドラインの対象にならない需要家に対しても,高調波による障害を防ぐために,一般社団法人 日本電機工業会は,汎用インバータ及びサーボアンプの高調波発生量の抑制対策を実施していただくことを推奨しており,「汎用インバータ(入力電流20A以下)の高調波抑制指針」(JEM-TR 226)及び「サーボアンプ(入力電流20A以下)の高調波抑制指針」(JEM-TR 227)を発行しております。

4. パンフレット・参考文献

お問合せ先
技術戦略推進部 重電・産業技術課 TEL: 03-3556-5884