知っておきたい 高圧進相コンデンサ設備の正しい取扱い

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知っておきたい 高圧進相コンデンサ設備の正しい取扱い

一般社団法人 日本電機工業会
コンデンサ業務専門委員会
コンデンサ技術専門委員会

高圧進相コンデンサ設備は、系統の力率を改善し、電力のムダを省く機器として長年貢献しています。しかし、設置方法、取扱いが正しくないと、コンデンサとしての機能を果たさなくなるだけではなく、系統の短絡・地絡などの二次的な事故にもつながる可能性がありますので、正しい取扱いをお願いします。

1.コンデンサには、直列リアクトルを取り付けてください。

直列リアクトルは高調波による系統の電圧ひずみを改善するとともにコンデンサ突入電流を抑制し、かつ、異常電圧の発生を抑えるなどの効果があります。高調波などによるコンデンサの損傷を避けるためにも直列リアクトルの設置をお奨めします。

JIS(日本工業規格)及びJEAC(電気技術規程)で下記の通り規定されています。
  1. JIS C 4902:2010(高圧及び特別高圧進相コンデンサ並びに附属機器)
    ⇒コンデンサには直列リアクトルを取り付けて使用することを原則とする。
  2. JIS C 4620:2004(キュービクル式高圧受電設備)
    ⇒7.3.8高圧進相コンデンサ及び直列リアクトルとしてタイトルに直列リアクトルが追加され、
     直列リアクトル付き進相コンデンサが標準化されました。
  3. JEAC 8011-2008(高圧受電設備規程)
    ⇒進相コンデンサには、高調波電流による障害防止及びコンデンサ回路の開閉による突入電流抑制のために、
     直列リアクトルを施設すること。(勧告)

2.15年以上ご使用のコンデンサは取替えをお願いします

一般社団法人 日本電機工業会では高圧進相コンデンサ設備の更新推奨時期を「15年」及び低圧進相コンデンサ設備の更新推奨時期を「10年」としております。より安全にご使用いただくため、ご使用のコンデンサ・直列リアクトルはお早めにお取替えください。
◆高圧:弊会発行のパンフレット「高低圧電気機器の保守点検のおすすめ」(2008年10月発行)をご参照ください。
◆低圧:弊会発行の報告書「低圧機器の更新推奨時期に関する調査」(1992年3月発行)をご参照ください。

3.高圧進相コンデンサ設備の保守点検チェックポイント

チェックポイント 油入高圧進相コンデンサ ガス封入式高圧進相コンデンサ モールド高圧進相コンデンサ 油入自冷式直列リアクトル 乾式モールド直列リアクトル
外観 油漏れ有無の確認 ガス漏れの有無の確認
(下限圧力スイッチの動作有無)
亀裂の有無の確認(異常検出装置の動作有無)
油漏れ有無の確認 亀裂の有無の確認
ケース発錆・腐食の有無の確認 フレーム発錆・腐食の有無の確認ケース発錆・腐食の有無の確認フレーム発錆・腐食の有無の確認
ケースの膨らみの確認 圧力スイッチの確認
振動・びびり音などの異常音の有無の確認 励磁音、振動、共振、びびり音などの異常音の有無の確認
碍子の汚れ・亀裂及び端子接続部の変色や緩みの確認
電流 各相電流のチェック
  1. (1)許容電流種別Ⅰの場合
       定格電流の120%以下(120%以上の場合、高調波電流の流入のおそれあり)
    (2)許容電流種別Ⅱの場合
       定格電流の130%以下(130%以上の場合、高調波電流の流入のおそれあり)
  2. 平衡度1.08以下(不平衡の場合、素子絶縁破壊のおそれあり)
温度※1 異常に温度上昇していないか確認
ケース正面2/3H又は上蓋:70℃以下
異常に温度上昇していないか確認
油面計又は保護接点取付位置高さ:80℃
異常に温度上昇していないか確認
鉄芯下部:100~115℃以下
備考※2 保護装置が装備されている場合はその接点を利用して上位遮断器(又は開閉器)を開路し、保護をお願い致します。 標準装備しております圧力スイッチの接点を利用して上位遮断器(又は開閉器)を開路し、保護をお願い致します。 標準装備しております異常検出装置の接点を利用して上位遮断器(又は開閉器)を開路し、保護をお願い致します。 標準装備しております温度センサーの接点を利用して上位遮断器(又は開閉器)を開路し、保護をお願い致します。

※1 温度は目安です。
※2 遮断器又は開閉機器の適用についてはメーカに問い合わせください。

4.高圧及び特別高圧進相コンデンサ並びに附属機器のJIS規格が2010年1月20日改正されました

JIS C 4902:2010 (高圧及び特別高圧進相コンデンサ並びに附属機器)の要点

※詳細はJISをご参照ください。

  1. 従来の規格本体、附属書1、附属書2の構成が「コンデンサ、直列リアクトル、放電コイルの3部構成に分離」されました。
  2. 「絶縁油の化学組成名又は商品名の表示」が必要となりました。
    但し[JIS C2320に定める絶縁油、又は主成分がC(炭素)、H(水素)、O(酸素)だけよりなる絶縁油の場合には、省略してもよい]となっています。
  3. 「コンデンサの静電容量偏差が変更」となりました。
  4. 「使用者は特殊使用状態を明確化する」ことになりました。
  5. 新たに「コンデンサの汚損耐電圧値が追加」されました。
  6. 「乾式直列リアクトル・乾式放電コイルの"絶縁の種類"という表現が"耐熱クラス"という表現に変更」されました。

5.コンデンサの高調波対策

  1. コンデンサの設置にあたっては、直列リアクトル(L=6%)の取付が原則になっています。
  2. 高圧配電系統に直接接続されるものは、高調波耐量をアップしたL=6% 許容電流種別Ⅱ(I5=55%許容品)が適用されています。また、各種の直列リアクトルの種類は下記の通りです。

    表.直列リアクトルの第5調波電流及び電圧ひずみ率許容値
    リアクタンス 許容電流種別 最大許容電流
    (定格電流比%)
    第5調波含有率
    (基本波電流比%)
    適用回路 電圧ひずみの上限目標値
    L=6% 120 35 特別高圧受電設備用 総合3% 第5調波 2.5%
    130 55 高圧受電設備用 総合5% 第5調波 4%
  3. しかし、ひずみが大きく、表の直列リアクトルで対策がとれない場合(電圧ひずみの上限目標値を超過する場合) L=13% 許容電流種別Ⅰ(I5=35%)、または、特殊品として L=6% I5=70% となります。

6.直列リアクトルご使用上の注意

  1. 同一系統に多数のコンデンサがある場合、一部のコンデンサのみに直列リアクトルをご使用になりますと、このコンデンサ回路に過大な高調波電流が流入することがあります。少なくとも、全容量の70%以上にあたるコンデンサに直列リアクトルを設置ください。
  2. 直列リアクトルに接続されているコンデンサの一部を取り外すと直列リアクトルの%リアクタンス(補償率)が低下して危険です。
  3. 直列リアクトルの使用によりコンデンサの端子電圧が上昇することにご注意ください(放電コイルも同様に定格電圧が回路電圧のものは電源側に設置するようにして下さい)。直列リアクトルの%リアクタンスに応じたコンデンサをお選びください。
  4. 高調波などによる過電流によって生じる損傷事故防止のため、異常温度上昇保護用接点(プロテクタ)を設けてありますので、これを使用して接点動作時には電源を開放するよう回路を構成してください。
  5. 1998年より前の旧JIS準拠品(1990年版)と1998年以降の現JIS準拠品(1998年及び2010年版)の組み合わせは、直列リアクトルのリアクタンス(%)が変化して危険です。旧JISの機器を交換する場合は、組み合わせる他の機器も現JIS品へ交換下さい。
  6. 定格周波数と異なる周波数でコンデンサ、および直列リアクトルをご使用になりますと、リアクタンス(%)が変わりますので、ご使用にならないで下さい。

【注意】

  • 旧JIS品は「JIS C4902:1990年版」及び「JIS C4801:1990年版」に準拠する製品を表す。
     (これより以前に発行された基準に準拠する製品も含む)
      例:コンデンサの定格電圧6,600Vのようにリアクタンスを考慮していないもの。
  • 現JIS品は「JIS C4902:2010年版」及び「JIS C4902:1998年版」に準拠する製品を表す。
      例:コンデンサの定格電圧7,020Vのようにリアクタンスを考慮しているもの。
  • L=13%の場合は、問題ありません。

より詳細な選定、設置及び保守については、JEM-TR 182:2003(電力用コンデンサの選定、設置及び保守指針)をご参照ください。
保守点検時の異常、直列リアクトルご使用の詳細などは製造メーカにお問い合わせください。