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モータ/インバータによるCO2排出削減の実績値を認証・表示する新システムを構築・検証
2025.02.26
一般社団法人 日本電機工業会(以下、JEMA)は、稼働時に多くの電力を消費する産業用モータとそれを省エネ駆動するインバータに着目し、これら製品がインバータ導入前後で削減したCO2排出に紐づくグリーン価値(※1)の評価につながる新システムの構築と検証を実施しました(※2)。第三者認証されたCO2排出削減の実績値をスマートフォン端末などで時系列表示することができ、製品のグリーン価値が環境意識の高いステークホルダーへの訴求につながることが期待されます。
【実証実施の背景】
近年、カーボンニュートラルの実現に向け、国や一部の企業で環境行動を本格化させる具体的な動きが始まっています。一方、この動きを経済・環境のエコシステムとして社会浸透させるためには、サプライチェーンを構成する全ての企業と最終消費者となる市民の行動変容につなげることが不可欠であり、この意味合いから製品やサービスなど商材の視点でCO2排出削減を評価する重要性が指摘されています(※3)。例えば、環境性能の高い商材が生み出すCO2排出削減量を適切に開示することは、当該製品の需要喚起につながりやすくなると考えられます。
JEMAが所管する電機分野の多くの製品は、そのライフサイクル全体(※4)のうち「製品の稼働段階」のCO2排出量が多いことが判っています。省エネ部品の採用や、無駄な稼働の削減でCO2排出を大きく減らす余地があるため、JEMAの参画企業となる電機メーカ各社は積極的な製品の省エネ化を進めています。この場合、実際にCO2排出削減量の実績値を時系列で開示することは製品の環境訴求の観点からも極めて重要です。
【実証試験の概要】
今回、実績ベースのCO2排出削減量を時系列表示する新たなシステムを構築し、最初の適用製品としてわが国電力消費量の過半を占めると言われるモータを取り上げました。インバータを新たに導入し、これによりモータを最適制御することで実現されるCO2排出削減量を実計測するとともに、削減量の第三者認証を実施しています。
実証試験では、モータを動力源とした射出成型機および空調用冷却水ポンプの2つの事例について、モータのトルクまたは回転数をインバータで制御することで実現した省エネに紐づくCO2排出削減を実施しました。続いて更なるCO2排出削減策として、実験機と同一サイトにある太陽光発電設備で発電した再生可能エネルギーによるグリーン電力で実験機を駆動することで、全電力消費のカーボンニュートラル化も実施しています。
前半の省エネ実証では、インバータ導入前後における製品稼働時の消費電力量の計測/把握に基づきCO2排出削減量の算定を実施しました。また後半のグリーン電力駆動については、既存の再生可能エネルギーの利用証明システムを活用しています。
さらに両者を加算したトータルの排出削減量を第三者認証(※5)した上で、CO2排出削減状況を可視化しています。可視化プロセスでは、削減状況を時系列で確認できる表示方式を用いると共に、多くのステークホルダーがスマートフォン等でリアルタイム確認できるようにQRコードを用いたシステム環境「ダイナミックラベリング」を新たに構築し導入しています(※6)。
【今後の展開】
製品稼働時のCO2排出削減の価値がステークホルダーで評価される取組みを実際の事業シーンでの活用に展開すべく、今回実証した各プロセス(CO2排出削減量の算定、CO2排出削減量の認証など)を広く実施する上で必要となる業界ガイドライン類の整備を進めて参ります。
更に、製品稼働時を含めた製品のライフサイクル全体(※6)の視点からCO2排出削減に寄与するグリーン製品の開発・普及を業界として加速し、カーボンニュートラル社会の実現に貢献して参ります。
※1 環境負荷低減の価値
※2 JEMA環境価値可視化・活用検討委員会へ参画する、
富士電機株式会社、株式会社日立製作所、株式会社明電舎、株式会社IHI の協力によって実施
※3 「グリーン商材の付加価値付け検討WG」最終報告書 経済産業省GXリーグ公式HP
※4 製品を構成する材料・部品等の製造・調達段階、製品の製造段階、製品の稼働段階、および使用済み製品の段階
※5 一般社団法人 パワードバイアールイー認定委員会 にて実施
※6 CO2排出削減状況の可視化(ダイナミックラベリング)
(一般社団法人 パワードバイアールイー認定委員会ウェブサイト)
- 2025.02.26
- ニュースリリースPDF
180KB
- 【本発表に関するお問い合わせ先】
- 新事業・標準化推進部
TEL 03-3556-5888